マイクロロットは誰のため。

ネーカウンラー[元気ですか]。
産地担当の安田です。

ラオス、ルアンパバーンに戻ってきました。
ラオスの方が慣れてるからか、あったかいからか。ちょっと気が抜けてしまっています。

さて。
ミャンマーで、農家さん自身にコーヒーの精製をお願いしたらどうなったか、と言う話の続きです。
(一つ前の記事▷「コーヒーの「マイクロロット」とは。」)

< マイクロロットを自分でつくることは、農家さんにとってはとてもリスキー >

結果としては、消極的な人がおおかったです。

自分たちで加工するということは、加工後の品質に責任をもつということ。
乾燥中に攪拌する時間がなかったり雨が続いたりして、カビてしまうかもしれない。
逆に日が照り過ぎて乾燥しすぎてしまうかもしれない。
リスクを減らすためにも乾燥棚をつくらなきゃいけない。雨よけのためのカバーもしないと。
売れるのも、もちろん乾燥が終わった頃。なので収穫から一ヶ月後になったりします。

そう考えると、チェリーで収穫して、その日には収入に代わる方がいいと考える人も多いのは当然です。
品質に対して怠惰なわけではなくて、自分ができることをちゃんとやり続けるために欲張らない。というスタンスも大切ですよね。

自分たちで加工した方がいい場合も、もちろんあります。
例えば精製場から極端に遠くて集荷にこれない地域だったら?加工をして保存が効く状態にして、ある程度の数量がたまったらまとめて輸送した方がよさそう。上手に加工ができる人なら、しっかり付加価値をつけることができるでしょう。
時間に余裕があって土地が限られているコーヒー専業農家であれば、できるだけ時間をフルに活用して土地あたりの収入を増やす方がいいかもしれない。

とても、ケースバイケースです。

< ステップバイステップ。 >

「君たちが悪い人たちだとは思わないけど、お互いのために、すぐには信用しきれないこともわかって欲しい。」
ある農家さんが僕にいいました。
つまりはいきなり、たくさんの量を用意することはできないよ、とのこと。

実は少し前に、どこかの支援団体さんから「自分たちで加工までやってみませんか?」と同じような提案を受けたことがあるそう。
自分たちで加工した方が高い価格で販売できると言うし、乾燥棚も作ってくれるし必要な機材は支援してくれるし。
これはいいと思って収穫したチェリーを村のみんなで協力しながら乾燥させたのだけど、なかなか取りにきてくれない。
保管方法もちょっと悪かったのだろうけど、雨が続いた後にカビてしまって、結局「カビたものは買えない」と言われてしまった。
よかれと思っての提案だったのだと思いますが、結果農家さんたちの信用を失ってしまったようです。


(ちなみに、間違えて収穫した未熟なチェリーや、取り損なった過熟なチェリーはそのまま干して地元の仲買人に安く売る。多様な販路があることはとても大事。)

< まずは、お互いを知ることから。 >

僕らとしても、農家さんに加工をお願いしたときのクオリティには不安が残ります。
本当に熟度の揃ったものだけを選別してくれるだろうか?適切な環境・時間で精製してくれるだろうか?

「なので、まずは少量からやってみましょう。1月末にまた帰ってきます。興味のある方は、挑戦してみてください。」
おいしかったらそれに応じた価格をお支払いしますし、イマイチだったら日本への輸出用には買えない。ジーニアスが、最低でもローカルの通常価格では購入することを保証してくれて、ミャンマー国内でそれ相応のマーケットに販売する、という話でまとまりました。
地域に根ざして、多様な販路をもっているパートナーがいるからできる挑戦。
僕らだけでは何もできないなと実感。あらためてジーニアスさんには、感謝と尊敬を。

< それでもやりたい!と言う人たちと、持続的な関係をつくっていきたい。 >

農家さんに、リスクも含めて正直に考えてることを伝えたところ、それでもやってみたい!という農家さんもいらっしゃいました。
自分は正直他の農家さんよりも、コーヒーに手をかけてると思う。コーヒーに可能性を感じている。
自分でできるだけ最後まで仕上げたいと思ってた。と話してくれます。

まずはどこから頑張ればいい?完熟果だけを収穫?もちろんわかってる。
乾燥棚も作ったことある。また作ったら見に来て欲しい。カビないように、攪拌もする。
乾燥が完了したかどうか、噛めばわかる。あってるかどうか、水分計をもってきて、チェックしてくれればいい。
保管は?通気性のいい袋に入れる前に、湿気ないようにビニール袋に入れたほうがいい?わかったそうする。

他には?

みんなが同じくらい頑張りだしたら、もっと何を頑張ればいいだろう。
うちの畑にはいろんな品種が植わってる。新しく植える畑は、一品種だけ植えようかと思ってる。どれがおすすめかな。


(コーヒーチェリーの糖度をひたすら測っては、「へー。」とか「ほー。」とか言ってる農家さん)

そうやって、まずはどんなモチベーションでもいい。
やる気のある人たちに懸けてみたいと思っています。
彼らの試行錯誤をみて、みんなが自分の頑張り方を決めて行ってくれたらいい。
マイクロロットで、最高の品質のものを作り続ける人が一番えらい、とは思っていません。
それぞれの暮らしにフィットしたコーヒーとの関わり方があればいい。

多様な関わり方の選択肢がたくさん用意できるといいな。と思っています。

突然ですが、
僕は貧困がこの世からなくなればいいなと思っています。

貧困とは。

「貧困とは、社会的な制約によって個人の潜在能力を発揮する機会が失われてる状態」
みたいなことを、偉大な学者さんが言っていました。

そんな制約を取り除くということは?

おれ、もっと頑張れるのに! と思ってる人がちゃんと頑張れて、
頑張った成果が適正に評価されるような機会が手に入れられる。
そんな”しくみ” が必要です。

でも実際には、”しくみ”上、何かのしわ寄せが一部の人にいってしまってるがために、
努力のしようがないとか、努力しても報われない。とかいうシチュエーションってとても多いな、と思っています。

これまでの小さな経験値の中からですが、いわゆる途上国の小規模農家さんって、なぜか、とてもそのしわ寄せがいきやすいポジションなのかな、と考えています。

ちょっとずつでも、今のこの不思議なしくみを変えていきたい。
1人1人は小さくてもみんなで頑張れる。もしくは、小さいからこそ頑張れる。
みたいなしくみを、小さくてもいいのでたくさん、一つずつ用意していく。
そんなことのお手伝いができたらこんなに幸せなことはないよなーと、思っていたりします。

そのためには単純に、しわをちょっと逆にも寄せないと。
コーヒーづくりに関わるみんなで一緒に、これまでとってきていなかったリスクを、わけわけしていく必要があるのではと。
思ったりしています。

抽象的すぎますねごめんなさい..

何がいいたいのかわからなくなってきましたが、また。