いろいろな色や形が可愛らしい豆。お野菜の種類が少ない端境期(はざかいき)には、坂ノ途中のお野菜セットでもお届けすることがあります。

年中常備でき、地域や家庭ごとの味で親しまれてきた豆ですが、調理に手間や時間のかかるイメージから、今では敬遠されることも多いようです。でも、基本を知れば、簡単に調理できてアレンジも自在。おかずの主役になるほど、ふくよかな味わいを楽しめます。

ここでは、そんな豆の種類ごとの特徴や、基本の調理、おいしいレシピをご紹介したいと思います。

目次
いろいろな豆。品種ごとの違いや特徴
 ─ ダイズ
 ─ インゲンマメ

乾燥豆の基本の調理(ゆでる・煎る)
 ─ 乾燥豆のゆで方
 ─ 煎り豆のつくり方

豆を味わう、おすすめレシピ3品
 ─ 豆と玉ねぎのマリネ
 ─ 豆と玉ねぎとじゃがいものスープ
 ─ 煎り青大豆と、豆ごはん

いろいろな豆。品種ごとの違いや特徴

豆とは、マメ科植物の種子のことをいいます。同じマメ科でも、枝豆やサヤインゲンは未熟のものを食べますが、ここでご紹介する乾燥豆は完熟したもの。ダイズ、インゲンマメ、ササゲ、エンドウマメ、ラッカセイなど、その仲間はわたしたちの知る限りでも多種多様で、世界中にたくさんの種類があります。ここでは、日本でも親しまれているダイズとインゲンマメの仲間についてお伝えします。

ダイズ

中国が原産といわれ、古く日本に伝わった大豆。そのままを食べるだけでなく、豆腐や納豆、味噌、醤油など、加工にも幅広く利用されてきました。白大豆、青大豆、黒大豆など種類もさまざまで、地豆と呼ばれる在来種の豆も多くあります。豆類のなかでも、とくにたんぱく質が多く含まれていて、さらにビタミンや脂質などの栄養も豊富。まさに「畑の肉」といえそうです。

白大豆
大豆のなかでも生産量が多く、加工食品にも多く使われているのが白大豆(黄大豆)。家庭では、甘辛い味の煮豆や鉄火味噌にしたり、香ばしい炒り豆にしたり、常備菜としてさまざまな調理法で食べられてきました。

青大豆
皮が緑色で甘みや香りがあるのが特徴の青大豆。白大豆と同様、どんな調理にも向きますが、あっさりとした味付けのものやマリネにすると、その色味や甘みが活きます。ゆでた青大豆をだし汁に浸した「ひたし豆」が東北地方ではよく食べられていますね。

 

インゲンマメ

中南米が原産といわれるインゲンマメ。世界中にいろいろな種類があり、調理の仕方も地域によってさまざまです。炭水化物が多く含まれており、主食として利用する食文化もあります。日本でも親しまれているのは、金時豆、花豆、とら豆、うずら豆など。それぞれ、色や模様が個性的です。

紫花豆
花豆の一種で、粒は大きめ、黒と紫のまだら模様をしている紫花豆。食べごたえのある、ほくほくとした食感です。寒さにつよく、冷涼な地域で大きく育つといわれていて、国内では北海道や長野で栽培されています。

とら豆
白地に茶色いまだら模様のとら豆は、見た目が虎に似ていることからそのように名付けられました。柔らかくて煮えやすいのが特徴で、甘煮にしたり、スープに入れたりすると、ほっくり、ねっとりとした食感を楽しめます。

乾燥豆の基本の調理(ゆでる・煎る)

時間をかけるぶん、柔らかな食感や甘みを楽しめるゆで豆。浸水せずとも食べられる、かりっと芳ばしい煎り豆。2つの基本の調理法をご紹介します。できあがった豆は、いろいろなお料理や常備菜に。

乾燥豆のゆで方

1)水に浸す
豆はさっと洗い、4~6倍の水に浸し、ふっくらするまで戻します。(目安:6~8時間程度)

2)ゆでる
浸した水ごと鍋に入れ、強火にかけます。沸騰したら弱火にし、アクを取りながら好みのかたさになるまでゆでます。(目安:40分~1時間程度)
途中で豆が水面から出ないよう、ゆで汁が少なくなったら差し水をします。

※アク取りの方法は、お玉などですくい取るほかに、「ゆでこぼし」もあります。この場合、はじめに沸騰させたあと、一旦ゆで汁をすべて捨てて新しい水と入れ替え、再度沸騰したら弱火にして同様にゆでます。

ゆで上がった豆は、煮物やスープ、サラダ、カレーなどのお料理に入れて使えます。すぐに使わない場合は、煮汁ごと、または水気を切った豆を密閉容器に入れて冷凍保存もできます。塩と米糀を用意すれば、自家製味噌にも!

味噌づくり

一緒にチェック
お好みの豆で仕込める
自家製味噌のつくりかた

 

煎り豆のつくり方

フライパンで煎ると、ソフトな食感で大豆の甘みがしっかり。オーブンで焼くと、カリっとした食感で噛むほどに大豆の味わいが広がります。

1)水に浸す
大豆はかるく洗い、水に浸しておきます。浸水したら、ザルにあけて水を切ります。
※浸水は、ひと晩ほど置くとふっくらしますが、1~2時間程度でもOK
※カリっと固く仕上げたい場合は、浸水しなくてもOK

2)煎る
フライパンを熱し、大豆を煎ります。はじめは強火で、焦げないように絶えずフライパンを揺すります。パチっと音がしてきたら弱火にし、フライパンを揺すりながら15分ほど煎ります。お皿にあけて、冷まします(冷めると少し固くなります)。

※オーブンでつくる場合
天板にクッキングシートを敷いて1の大豆を並べ、予熱なしの190℃で10分焼きます。一度取り出し、まんべんなく熱が加わるように大豆をころがします。温度を160℃に下げて30分焼きます。また取り出し、大豆をころがします。さらに160℃で20分焼きます。天板から取り出し、冷まします。

できあがった煎り豆は、そのまま食べても、スープに入れたり、豆ごはんにしたりしても、おいしいですよ。

焼きカリフラワーと炒り大豆のスープ

豆を味わう、おすすめのレシピ3品

坂ノ途中のまかないスタッフのレシピから、おすすめの3品をご紹介。
味付けや具材はシンプルにして、豆らしい風味や食感を楽しみます。

豆と玉ねぎのマリネ

さっぱりと酸味が利いて、シンプルなぶん、豆のほくほくとした食感、こっくりとした味わいが引き立つマリネ。大豆や花豆、とら豆などお好きなものを組み合わせても、1種の豆だけでつくっても。
レシピはこちら≫

豆と玉ねぎとじゃがいものスープ

豆のほっくりとした食感、玉ねぎとじゃがいもの甘みがじんわりと広がるスープ。やさしく、具だくさんで、心もお腹も満たされます。くたくたに煮込んで、バゲットといっしょに食べてもおいしいです。
レシピはこちら≫

煎り青大豆と、豆ごはん

水で戻す手間も要らない、ポリポリとした食感の煎り大豆。しょうゆとみりんを絡めた甘じょっぱい味わい、豆のふくよかな香りが広がります。そのままでも、豆ごはんにしても、おいしくて手がとまりません。
レシピはこちら≫

日本全国、そして世界各地でさまざまに食されてきた豆。地域ごとの豆料理について調べてみると、また新たな発見があり、とても奥深い食材だなあと思います。
そんな食文化も楽しみながら、おいしく味わっていただけたら。
坂ノ途中の編集室のレシピも、参考にしてみてくださいね。